出家の特権
・・・前略・・・ 此れはどう云うものか、其処に立場が相違しておる様であります。其の相違は、日本の政府は軍拡ー軍備拡張政策を取っております。私は、軍備全廃を考えております。
此処に其の行き違いがあります。
別に悪い事をした訳ではありませんけれども、意見の対立が有ります。此の政府の考え方も、日本の平和憲法には抵触します。そうして世界の現代の人類の要求にも反します。何とか此の考え方を折伏せねばならない。それが我々の御修行です。其処で政府関係の者は、日本山に対しては非常に冷淡で、恐怖・疑惑を持っております。それで良いかと思います。
此れで、政府に認められたら大変であります。
我々宗教家と云う者は、他に何も取り柄は有りません。進む道を間違った政治や権力や経済力に動かされないと云う。自分で貧乏はしましても、何も経済的に何処からも支配を受けない。
権力的に何処から弾圧を受けても、一寸も恐れない。こう云う生活が出家の特権であります。
お役所に付いておるとか、何か職業に付いて居れば、それが出来ません。
家庭が有れば、其処に躓きがあります。
日本山の特権は、只正しい事を見出して、それを守って行く事。あらゆる迫害の困難の、それから悪口の中傷の、そんな事は、何ぼ有っても、悪い事さえせにゃ、怖くありません。
(昭和五十六年十一月二十二日朝 インド竹林精舎本堂)