平和の根底をなすもの

法話 天鼓 昭和六十年二月号
一度社会生活に闘争の手段を採用すれば闘争は遂次発展するばかりである。明治以来の日本国の歩みし道は、其の例証である。闘争に由って平和の目的を達成することは到底不可能であると言う事は、理論よりも万国の歴史が分明に証明している所である。乾草に火がつくように、人間の世界に悲歎と頽廃と破壊と殺害との禍いを拡げて其の止まる所を知らざる人間の暴力行為を非難し、反抗し、廃棄せしめんとする傾向が起こる。此の傾向が平和であり、文化であり、道義であり、而して其の根底をなす物が即ち宗教である。

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