撃鼓宣令

【撃鼓宣令】  昭和九年
日本山の修行は非合法的に非ざるとともにまた合法的でもない。超合非合法的である。
いわゆる出世間法の面目は、世間法に合非合の論議を超過しておらねばならぬ。宗門の思想とする法国冥合の暁の如きは遠き将来の目標である。右顧左眄ないし、盲目跛行の今日の世間法と強いて一致することを急ぐ者は諂曲の僧侶の愚案であらねばならぬ。
世間法が如来の正法に一致冥合するまでは、日本山はいつも世間の怨嫉迫害のなかに立っていることが真実義である。

【 撃鼓宣令 】   昭和九年
世間に好しと称せらることは、末法濁悪の世に於いて正法を護持する者にとって永遠に禁物である。世間の毀辱に刀杖が閃(きらめ)くが如く世間の称賛には劇毒が盛られてある。
毀辱の刃を忍び得たる宗門もかえって称賛の毒にあてられた。日本山の行くべき道は、いつもいつも佛祖の勅命を受けた自己一人以外の何者も伴れたってはならぬ。
深固幽遠無人能到は法華経の行者の却下立地の風景である。
ーーーーーーーーーー中略ーーーーーーーーーーー
撃鼓の本旨は、すなわちこれ宣令である。宣令は四方弘法であり、四方求法である。

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