仏足山入山に当たって (1)
ここの宝塔建立は着手したのが三月で、明年の二月二五日までに落成式を挙げたいと思います。
そうすると、日数が常に逼迫しますので、私も気になってここに留まって御祈念をしたいと思いましたが、内地の方も何か用があるというので、ついに心ならず日本に帰りました。日本の用をあちこち勤めてまいりました。それが春の彼岸のお中日に日本に帰りました。こんどまた、秋の彼岸のお中日に帰ることが出来ました。どうも不思議な因縁であります。
で、細かい様子を知りませんでしたけれども、この九月に私が帰りますまでにドームが形を作っていくという噂が日本に伝わりまして、みんな半信半疑で信じきれなかったようであります。
そんなに早く出来る所があまり日本になかったんで雨季になりまして、仕事の困難を感じる所で特に資材の入手が内地に比べると困難でありますが、その中で不思議としてこの宝塔が涌現しました。
宝塔涌現は毘首羯磨天が天から降りて造ると言う事であります。
伝説はそう言う伝説であります。
その毘首羯磨天は一夜にして創りあげたという、そういう伝説が残っております。これもまた、ここの道場も一夜にして出来あがったようなことでありましたが、宝塔様もまた、毘首羯磨天が天から降りて、一夜にして涌現したように、後世にはおそらく伝説が伝わるかもしれません。それ程不思議として簡単に出来あがりました。
それも、宝塔様を建立した経験のあるお弟子も何人か居りますけれど、みんな、それは腰が痛くなったり、足が痛くなったりして、内地に治療をしに帰ってしまいました。あとは宝塔建設の経験のない人ばかりが集まりまして宝塔を建てました。これは、誠に建つべき不思議な因縁、不思議な力がここに現れました。
宝塔を建てる人、毘首羯磨天が、天から降りてきました。頼まれたのでもなければ、私がかって顔なじみでもない、そんな人が集まりまして宝塔を建てました。
昭和五二年九月二三日 (スリランカ・仏足山)
スリランカ国・仏足山宝塔