ダーウィンの進化論的菩薩、仏

【大道】 昭和二十一年
ダーウィンは最も卑怯な動物すら我が子の為には恐るるところ無く立ち上がり、身を拠て子供を救わんとする事実を述べて、下等動物間にすら道徳的本能が有る事を指示している。
人間の優れたる点は、其の道徳心が下等動物よりも一段と鋭く、且つ高度に発達して、家族の為、団体のため、国家の為に其の身を犠牲にすることである。
是に於いて、人間各団体にとりて最も安全なるべき自己保存の法則の達成と、人類社会全般にとりて、最も永久に繁栄すべき種族保存の法則の達成とは、一般生物学的に検討しても、進化論的に探究しても、対立、排他。怨嫉的激情から闘争し殺生殲滅を行う事でなく、之と反対に格個人の心中に慈悲同情、仁愛の心を開発し、自ら実践し広く一切の人を教化し示導する事に依って達成する。此の如き大士を菩薩と名ずくる。
菩薩が住んで神通説する世界を浄土と言う。衆生善業の因縁に由って、浄土の教主として世に出現し給ふ者を仏陀世尊と称す。

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