海外布教

倉野行陣上人へ  昭和九年正月九日 スリランカ

台湾開教三ヵ年間の御仏事歴歴として現前し宛ら貴師に会えるが如く感じて歓喜致し候、貴山勧請し奉れる高祖大聖人様の御尊像出現於世の霊験感応の法話不思議とも申す計り無く感涙袖を湿し申し候、此の如きの仏事ありて西天開教も自然に成就致すべく候、
我が西天開教も有りとして記す可き品は一張の法鼓の妙音の中より種々の不可思議の事ども現前して昨今漸く基礎を確立致し候、
日本国に在りて凡そ日本の仏法と云えば先ず多数を頼む念仏の一門、雲水を気取る禅宗の一門、古典骨髄に余命を継ぐ天台・真言等未だなお肩を伍して存在するが如くにて候えども、此所西天に渡れば日本の仏法としては日本山より外に仏殿僧房の隻影だにも無之候、後五百歳広宣流布の時機を南無妙法蓮華経の要法のみ西天一面に轟き渡り候、
是より日本山の西天の弘通は潮の満つるが如く花の開くが如くに候、一人の日本人の外護無くとも全部の日本人の反対あっりとも総領事館の讒言ありとても微動だに感ぜず候、如来の使命は如来の使命の使命のままに高祖のご予言は高祖のご予言のままに寸分違わず西天に実現せしめ申すべきこと確固不抜の信念を把持致し候。

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