二十一世紀への予言 その1
前略
現今の商売はお金儲けのほかには何の目的もなく人間が動いています。禽獣が餌を求めるのも、牛馬が草を喰らうて歩くのも、たいして今の人間の社会の仕事と変わりません。それでその結果はといいますと、損をしたの儲けたのと、そんな話以外に何もありません。あまり儲けると、よその人がそれはいけないと言う。それで儲けないようにしようとする。損をしますと、損をしては大変だ、損をしないように商売をしよう。これで「貿易摩擦」という言葉が使われます。金銭の争奪であります。動物の社会以外の仕事とは思われません。
この金儲けも悪いことをして儲けならばいけないでしょうけれども、悪いこともしないのに金を儲け過ぎることもいけない。損しますと、今度は悪いことをして損をします。例えば人間の生活に投資すべき金も人材も人殺しの悪いことに回す。それで人々は生産の方面に働く力を失って損をする。
そして損をしたというと、あまり儲けすぎたからだと言われる。こういう理由が堂々と通っております。ここに物質文明の末路は破綻を生じます。
せっせと人殺し、破壊の武器を作るが、これを使うわけにもいかないから商売道具に変えます。”武器の輸出”であります。買い手がないと困ります。買い手を作らねばならない。金儲けをしている国にこれを売りつけることにします。
武器を買い込むのは金があるから買い込むのではない。戦争をするために必要だから買い込めというのであります。日本国は第二次大戦の後に、戦争はしない、軍備は持たないことにした。これは世界に先駆けて、世界のまさに来るべき悲劇を人類がくい止めるための憲法であります。
それを戦争をしてもよいということに改正しよう。改正まで待てないから今のうちから買い込んで戦争準備をしようと言うのであります。1機の飛行機を買いますと、私らの想像も出来ないような何百億の金がいります。その金を向こうに渡すのであります。
こんなことをしていきますと、やがてどの国も行き詰りをみます。第一にアメリカ合衆国が富める国として戦争の被害を知らなかった国として栄ましたが、この軍備拡張のために今や失業者がやたらに増え国民の生活が苦しくなりました。日本国も飛行機や潜水艦を買い込んだために、国民の生活が圧迫されそうになってきております。国の滅びる前に災いが起こります。これは「立正安国論」に引かれている御釈迦様のご説法の中に、一つは五穀が高くなる、穀物騰貴する「穀貴に災い」。これは食べ物ばかりでなく、社会生活が混乱する姿であります。これが出てきます。
その次に「国位喪失の災い」が起こります。主権者が我々の生活を潤わせない。主権者はやめてしまえ。ということになる。レーガン大統領もそろそろそのしっぺ返しがゆくようであります。国家の政治権力の座から離れなければなりません。もう一つあります。「兵革の災い」。武力革命。こいいうことがやがて起こってきます。アメリカも警戒せないとやがてこうなります。世界中の民衆に食べ物を与えずに人殺しの道具に使っていく世界。これは三悪道の姿でありまり、まさに阿修羅道の姿であります。
これが現代の文明の名においてなされております。この文明は人類の智慧をもって改ていかねばいかん。
(昭和五十六年四月一日)