軍事基地反対世界大会に寄する書

軍事基地反対世界大会に寄する書
第2次世界大戦後 日本国土と、その領海はアメリカ軍事基地の巣窟となり、これがために、平和の農村の耕地と、漁民の漁場は奪われ、庶民の生活は破壊せられしのみならず、進駐軍人の無法驕慢の振る舞いによって、婦人の貞操は蹂躙せられ、少年の非行は増加し、十字街頭は、あたかも野獣の孔穴と化しました。
しかのみならず、先年の朝鮮戦争、現在の越南戦争のためには、日本の軍事基地はややもすれば、直接戦争基地化せんとしております。
国民の不安に対しては、一片の条約によって、冷笑に付しております。
その名乗るところの「安全保障」とは、その実「危険保障」の偽りの贋言葉であり、その言うところの「国土防衛」とは、「他国の侵略」「亡国の門」を開く所以であります。
たとえ武力侵略に甘んずることありても、断じて他国の軍事基地を許すべきではありませぬ。たとえ敗戦亡国することがありても、他国の軍事基地を許すよりは、なお道徳的堕落を防ぎ得る利益が多いでしょう。
いやしくも外国の軍事基地を許し、外国の軍事力に依存して、自国の国土を安全に防衛せんと欲するが如きは、最も恥ずべき、愚かな現代の大賭博であります。
軍事基地と称する悪魔の醜面を明鏡に浮かべて、全世界の軍事基地を放逐し、廃棄せんがために、本大会の成功を祈る者であります。

(昭和四十年十月)

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