黄金崇拝の迷信

【トインビー教授への書翰】 1975年3月
経済発展至上主義は、人間の生活資料たる衣食住其の他の開発から飛躍して、貨幣蓄積事業と変容しました。是に於いて黄金崇拝と云う宗教的信念となって人間最高神聖なる行為の如く誤って認められました。
人間生活の所有る方面が総じて黄金によって価値ずけられ、黄金によって売買されない物は無くなりました、黄金の無限蓄積が現代の災害であります。
戦争と云う大規模の殺人破壊の罪悪さえも、其の国家が莫大の利益を得んが為には何時でも公然と何処の国に対しても勝手に行われつつあります。
戦争に必要なる軍備増強も軍需産業も亦黄金崇拝の迷信から一部の大企業家が起こすものであります。

タイトルとURLをコピーしました