菩提心
自分の一生。身命をかけて取り組む時、回りの人の心が動き、信施が有ります。
其の時に宝塔が建ちます。日本山は、金を以て建てません。昔、私、此処(仏足山)で質素な生活を致しました。蕨が生えておりました。蕨を切って生活しました。
下の茶園で選り別けて捨てた茶の葉を拾って来て、自分で茶を作って頂きました。
軽々しく人に金の問題を云い付ける事は、仏法には有りません。仏事は、仏事らしくせねばなりませぬ。我が誓願修行によって、人の心の中に宝塔が建ちますと、其の人びとが供養します。石屋は石を、米屋は米を、お金の有る者はお金を、其れで建って行きます。日本山式に行こうとすれば、無一文にして建立に掛かります。その決心が無ければ出来ません。たとえ一生掛かっても差し支えありません。皆の心が宝塔建立と云う事になって来ないと建ちません。其れを教化するのが、お坊様の仕事だ。仏様の心に適えば、宝塔様は必ず建つ、適わねば建たない。其処に魔障が潜みますけども、魔障に負けない様、菩提心を養わねばならない。日本山の一門の一生涯の仕事は、お金を貰う事でもなければ、お寺・宝塔を建てる事でもない。我が菩提心を育てる事であります。
(昭和五十一年二月二十六日 仏足山道場)