尊厳と自由

【一閻浮提】
明治維新に至って、廟堂に廃仏毀釈の毒風荒み、民間に黄金崇拝の教育を施し、国家をあげて、文明開化の標題に欺かれて、只、管欧米物質文明の差道を模倣するに及んで、宗教の権威全く地に堕ちて、唱題、念仏、真言、座禅、皆悉く迷信惑乱と称して官憲は、各宗の説法演説の内容、形式用語に到るまで干渉するに到りぬ。

【仁王護鈔】
また、明治維新の当時、廃仏毀釈の暴令を発せし、太政大臣三条実美、岩倉具視の輩なるべし。
遠くは平清盛が、南都七大寺を焼き、織田信長が比叡山を焼き、日蓮宗の布教伝道を禁制せしが如き是なるべし。誰人にもあれ、寺を廃し僧を毀り、神仏を手に握らんと欲する増上慢心の者にして、権威ある者なり。
「自ら高貴を恃んで吾が法を破滅し、明に制法を作りて我が弟子等の比丘、比丘尼を制す等」
と云うは、仏法の正理は世を挙げて信敬する所なれば、尋常の方便を以って破廃し難し、高僧の比丘衆は宗務院を立てて世間に隷属し、宗則を作って比丘、比丘尼を統制し、官庁当局は分課を設けて宗教を掌握し、法案を作って佛、法、僧の尊厳と自由とを束縛せんとす。

【清澄山仏舎利塔縁起】
この頃よりこの方、日本帝国、陸,海軍、数々の侵略の師を四隣の大陸に起こす、日本山妙法寺の一門も亦、悉く大陸前線の修羅場に毒鼓を撃つ、軍隊の殺生幽鬼の怨根を遮止転変せしめて、常寂光の仏土たらしめんと欲す。

タイトルとURLをコピーしました