誕生の意義
人間は、生まれるということの意味を考えなくてはならないと思います。偶然に生まれたのでもなければ、悪いことを、何でも勝手にしていくために生まれたものでもない。人間に生まれたということは、動物一般の生まれたのと違って、今日、自分がすることが善ければ、善いことであります。自分がご馳走を食べた、麻薬を吸った、酒を飲んだ、そんなことは良い事ではありません。
人のためになる善いこと、世の中のためになる尊いことをすること。これが現実の世における誕生の意義であります。日蓮大聖人様の誕生した意義が、何か解りまっせんけれども、現実に尊い法華経の御修行をなさった。仏様のお使いとして尊いお仕事をなさった。それから振り返って、その善いことした子供を生んだ御両親も、また不思議な因縁の人、あるいは仏様が生まれ変わって御両親になったかも知れない。それは解りません。
それとも、法華経の座に現われた諸々の菩薩方の生まれ変わりかも知れない。自分でが善いことをしますと、御両親が尊くなります。今、親不孝をしあす子供は皆、自分で悪いことをする、自分を産んだ親を軽しめ憎みます。自分で悪いことをしたんだ。これを親が悪いように考えます。今日、自らすることが善ければ、生れて来たという意義が尊くなります。
(昭和五十七年八月六日 広島道場御誕生会)
行阿院様墓前(身延山奥の院)